歯ブラシの普及

著者:admin

歯ブラシの普及

現代のような形状の歯ブラシが、地球上のどこでどのように発明され、進化していったのかについては明らかなことはわかっていません。しかしながら、おおまかなの時期とおおよその素材については推測することができています。
わかっている最古の現代のような歯ブラシは、20世紀中ごろに中国で発見された、10世紀の墓葬の出土品の中にあった2本の歯ブラシです。この出土により、中国ではこの時期から歯ブラシが使用されていたことが判明しました。しかし、同時代のそのほかの地域では、世界中どこを見ても歯ブラシが作られていた、使われていたと言う形跡は全く見つかっていません。
中国で見つかった歯ブラシは、柄は象牙でできていて、植毛した跡だと考えられる穴が8つあいたものでした。腐敗のため、植毛は残っていませんでしたが、おそらく馬毛だと考えられています。13世紀末には、すでに「楊枝」を使って歯の清掃を行う習慣は廃れており、現代の歯ブラシに似た用具を用いていたようです。
西洋では、17世紀ごろフランスで獣骨の柄に馬毛を植毛した歯ブラシが使用されていたと伝わっており、このころから製造もはじまったと考えられています。イギリスでも同じころに歯ブラシについて記述された伝記が残されており、各国で多くの歯ブラシが作られ、発展していったようです。
日本では、明治に入ってから歯ブラシの製造、販売がはじまったと言われていますが、いつ、どこではじまったのかは定かではありません。そもそも明治維新後、日本に西洋の文化が大量に導入された際に、フランス製の衣類用、軍器用、馬匹用のブラシが持ち込まれ、それを手本に大阪でブラシの製造ははじまったものと伝えられています。西洋と日本の生活スタイルの違いから、最初こそブラシの価値は認められませんでしたが、洋式化が進むに連れて実用品として生活に欠かせないものとなっていきました。ブラシが脚光を浴びるようになると、大阪にブラシを専門で製造する業者も現れてきました。歯ブラシもまた同じころ、大阪で鯨の髭の柄に馬毛を植毛した「鯨楊枝」が販売されるようになります。このころの歯ブラシは、インドから輸入されたイギリス製の西洋歯ブラシの模倣品でした。

著者について

admin administrator

コメントを残す